今季こそ――。その思いを胸に秘めるのが
成瀬善久だ。
2014年オフ、
ロッテからフリーエージェント権を行使して
ヤクルトへ移籍。ロッテ時代に通算90勝を挙げるなど実績十分の左腕は、新天地で開幕先発ローテーション入りを果たしたものの、14試合の登板で3勝8敗、防御率4.76。成績が振るわなかった。
「昨年は優勝したうれしさと、そこに貢献していない気持ちがあって複雑でした。今年は勝たなきゃいけない。そのためにヤクルトに来ましたし、このままでは終われません」
16年は新球のワンシームを武器にマウンドに上がる。縫い目が1本線のように見える魔球で、「ワンシームは球数を減らしたり、カウントを取ったり、ときに勝負球にも使える」
成瀬のボールを受けた中村は「直球の軌道で沈んだり、打者の手元で小さく変化する。ワンシームがあれば投球の幅が広がる」と好感触を語った。
2月の春季キャンプ中、成瀬は「昨年の今ごろと比べものにならないほど、状態はいい」と手応えをつかんでいた。
「昨年の負けの数(8)と勝ち星(3)を逆転させるとまではいかなくても、白星が先行してくれたら」と期待するのは真中監督だ。その期待に応えるように3月30日の
阪神戦(神宮)で6回1失点と粘投し、チームの今季初勝利に貢献した。
「しっかりローテーションを守りたい」と意気込む成瀬の逆襲が始まる。