もっとも充実した遅咲きの春になった。プロ12年目にして初の開幕スタメンを勝ちとった
岡崎太一が、ベンチから信頼を得て正妻の座をつかむために奮闘している。
「これまではチャンスをもらってもそれを生かせなかった。(今は)どうやって抑えようか、打ちとろうかに集中しています」
昨季も一軍は1試合、ファームでも30試合出場にとどまった。過去11年間41試合に出場のみの「新顔」といっても過言ではない。
3月25日の
中日との開幕戦(京セラドーム)では
メッセンジャーとコンビを組んだが勝てなかった。ただバットでは4年ぶりに一軍でヒットを放った。26日の同カードは能見から
マテオまで4人のピッチャーをリードして、チームを勝ちに導いた。7年ぶりに打点をマークするなど打撃でもしぶとい働きをみせたのだ。
岡崎を評価してきた矢野作戦バッテリーコーチが「本当にキャッチャーが信頼されるのは守りだから」というように、ここからは点を与えないリードも課題になってくる。
2005年松下電器から自由枠で
阪神入り。その後は頭角を現すことなく埋もれていた男に、金本監督は「やり通す根性を持っているから助言したくなる」と手を差し伸べた。
藤川、藤浪らが先発した際には若手の梅野が先発マスクをかぶった。当面はツープラトン起用になる。
「打つことより守りに重点を置いて貢献したい」と岡崎は力を込める。瀬戸際にいた男は、ここからさらにはい上がっていくつもりだ。