落ち着きを取り戻し、
三上朋也が実感を込めてつぶやいた。
「勝ってよかったです。本当に勝ってよかったです……」
3月25日の開幕戦(マツダ)。2対1で
広島を下した試合後のコメントだ。2点リードの8回に登板し、2四球に1暴投と乱れて1失点。「ひさしぶりですね。ここまで緊張したのは」とフーッと息をついた。
プロ3年目。苦しんだだけ、戦力として働けることに喜びを感じている。昨年はキャンプ終盤に右ヒジ痛を発症。復帰まで想像以上に時間を費やした。開幕は4カ月遅れ。8月8日の
阪神戦(横浜)までズレ込んだ。21試合で9ホールド、防御率0.81。山崎康につなぐセットアッパーとして、最低限の成績は残してみせた。
ルーキーイヤーは大車輪の活躍だった。65試合に登板し、球団の新人記録を塗り替える21セーブをマーク。長く不在だった守護神のイスに座った。
「ポジションにはこだわらない。1年間とにかく穴を開けず、チームの駒として投げ続けたい」
欲張らず「シレっと抑える」ことにやり甲斐を感じる男。闘志は内に秘めている。
役割は昨季と同様、勝ちパターンのセットアッパー。
ラミレス監督も「8、9回は決まっている」と全幅の信頼を寄せている。
「ケガをして、投げられないつらさを経験した。数字にはこだわりません。シーズン通して、与えられた仕事を全うしたい」
オフには結婚もし、心身充実の右腕。フル回転の準備はできている。