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ヤクルト 飯原誉士外野手・一振りに懸けるベテラン

 



 技ありの一撃だった。4月30日の巨人戦(神宮)。1点を追う7回一死二塁、飯原誉士は代打で登場すると、山口のボールになるチェンジアップをすくい上げ、左翼席最前列に逆転の1号2ラン。14年9月16日の阪神戦(神宮)以来、592日ぶりの一発でヒーローになった。「すごく久しぶりなので感動してます。(本塁打の時は)興奮していて、あの(ベース)一周は覚えていません」。お立ち台では、目に光るものがあった。

 あのときの涙については「あれは……。ファンの方の歓声で気持ちが熱くなって」と苦笑いしながら振り返るが、「昨年は(左ヒザの)ケガもあって、貢献できなかった。今年も開幕二軍だったけど、絶対にあの場所(一軍)に戻ってやろうと思ってやってきた」。二軍の戸田球場でも、常に神宮で活躍する自分を思い描いてきた。

 期待されているのは、終盤の代打だ。現在、チームに「代打の切り札」のような打者は存在しないが、杉村チーフ打撃コーチも「いろいろな経験を、ああいう(30日のような)形で出してくれれば」と話す。今季で11年目。通算47発とパンチ力のある一振りを、勝負所で見せるつもりだ。

「代打は難しいけど、一打席のありがたみを感じる。体、心、頭の準備をして、どういう投手がきてもいいように準備しています」

 試合中は、相手の先発投手を観察しつつ、終盤出てくるであろうリリーフ投手との対戦も想定する。スコアラーの情報を頭に入れ、最高の状態で打席に立つことが仕事だ。

「まだまだこれから。もっといいところを見せたい」

 何度も何度も神宮を沸かせるつもりだ。
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