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中日 谷哲也内野手・崖っぷちから這い上がる

 



 与えられたチャンスを生かした。5月3日の阪神戦(ナゴヤドーム)。2年ぶりに三塁でスタメン出場した谷哲也。六番に座ると、ヒットを放ち勝利に貢献。翌日の同カードでのスタメン出場も手に入れた。

「チームに入ってきたときはどうしようかと思いました。プロ入りはうれしかったんですけど、二遊間じゃ出るのは難しいかも、と」

 プロ9年目の30歳。遊撃・井端(現巨人コーチ)と荒木の「アライバコンビ」が鉄壁の二遊間を誇った。井端が抜けても、エルナンデスや遠藤が台頭。今季は、遊撃に年下の堂上が定着した。

 隙間に自らをねじ込んで、可能性という名の扉をこじ開ける作業が続く。三塁出場も、チームに緊急事態が発生した上での措置だった。4月下旬に、レギュラーの高橋が右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。そこでお鉢が回ってきた。

「スタメンで出たいですし、出たら生かしたいです」

 背番号は70。竜では成績を残せなかったらクビが待っている「崖っぷち番号」とされる。

「毎日を必死に過ごしたいです。できることをやり続けたいです。バントでも守備でも、走塁でもそう。一つひとつのプレーに悔いを残さないようにやりたいです」

 その姿勢に首脳陣も「役割を果たしてくれる頼もしい存在」と語る。華麗な守備はない。破壊力ある力強い打撃もない。アピール材料は堅実さ。丁寧なプレースタイルで一軍での居場所をつくる。
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