不動の四番があえいでいる。
中田翔が開幕から1カ月を経過しても低空飛行のまま。5月10日現在で打率.250、本塁打は4本止まり。打点こそ24と及第点の成績を残してはいるが、乗り切れないチームを象徴する存在に。「オレは何をやっても論外」と自虐的な表現をするほど精神的にもダメージを受けている。
精彩を欠き、もがいている。顕著だったのは5月3日からの
ソフトバンク3連戦。すべて1点差以内の接戦で2敗1分けに終わったが、自身の出来次第では3連勝の可能性もあった。一打でサヨナラの得点圏のチャンスが3度あったが、すべて凡退。しかも直前の三番の田中賢が敬遠されて勝負を挑まれる屈辱的なシーンで煮え湯を飲み続けた。「適当に記事を書いておいて」と自暴自棄になるほど追い込まれていた。
三番の田中賢、大谷ら五番に座る打者が好調なだけに重圧もある。田中賢は「翔はいつか打ってくれる。そのときまで、しっかりとやっていく」と復調まで支えていく覚悟。例年、夏場へ向けてコンディションを上げて本塁打を量産していくタイプ。きっかけさえあればと周囲は願っている。微妙な感覚のズレに悶々とする日々を脱却した時をみんな待つ。
栗山監督は「軸になる選手がやらなければいけない。翔を信じている」と変わらずに四番の座に据えて覚醒を促している。闇から光が見えたときが、V奪回を狙うチームの推進力になる。