ビッグレッドマシンガンと名付けられるほどの強力打線において、
小窪哲也の存在が目立ってこない。昨季代打で圧倒的な成績を残したスペシャリストも、今季は5月11日時点で19試合に出場。19打数2安打で打率は.105にとどまっている。「メカニカルなことなのか、何なのか。分かればすぐに修正したいところなんだけど」。表情もどこか暗いままだ。
いかに重要な存在であるかは、誰もが知るところ。昨季は何度も小窪のバットに救われた。「小窪の復調なくしてウチの終盤の快進撃はない」と首脳陣も口をそろえる。5月6日の
DeNA戦(マツダ
広島)では今季初めてスタメン出場させた。打席を与えることで感覚を取り戻してほしいという配慮からだ。
第1打席で左翼手が打球を見失うラッキーな二塁打。形はどうであれ、今季2度目のHランプを復調の足がかりにすることが期待されている。幸運にもチームは打線が好調。「ここ一番」の重要な場面での代打は多くない。今のうちに調子を上げ、打線が疲労してきたときに本領を発揮してくれればいい。長期間を与え、二軍で調整させる手も首脳陣の頭にはある。
今季からは選手会長も務め、チームの快進撃を陰ながら支えている。チームの誰も小窪を悪く言う人間はいない。それほどの人格者だ。だからこそ打てばチームはさらに一丸になる。交流戦から夏場にかけて。苦しいときに打ってこその小窪だ。