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オリックス 近藤大亮投手・再び、あの興奮を味わうために

 



 6月某日、神戸市内の合宿所。ドラフト2位右腕は、近距離でのキャッチボールを繰り返していた。まずはヒジを曲げた状態から。次に後ろを向いた状態から体をひねるように。ときおり映像を確認しながら、一球一球確かめるように丁寧に投じた。「練習は精神の安定」――。自身の好きな言葉をかみしめるかのように、黙々と白球と向き合う時間を過ごしていた。

 デビューは鮮烈だった。開幕2戦目の西武戦(西武プリンス)、敵地とはいえ満員の観客が初登板を見守った。ルーキーに白星をプレゼントするべく、味方が奮起し、初回に5点を先制。あとは初勝利に向かって腕を振るだけだった。だが、3回4安打1失点で降板。何かが違った。当時投手コーチを務めた酒井育成コーチは、こう振り返る。

「無理をさせてしまっていた。ルーキーだったし、痛いとも言えなかったんだろう。あのまま5回まで投げさせていたら、2年くらいダメになっていた可能性もある」

 春季キャンプの後半から一気に駆け上がってつかんだ一軍のマウンド。いろいろなものがルーキーの肩に重くのしかかっていた。

 検査の結果、右肩腱板炎と診断された。実戦まで1カ月と発表されたが、2カ月以上経った今も、復帰の目処は立っていない。しかし「焦っても仕方ない。一つひとつやっていきます」と気持ちは前向きだ。プロ初登板を「楽しかった」と振り返った近藤大。苦しみを乗り越えた先に、またあの興奮が味わえるはずだ。
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