あまりに劇的な幕切れだった。6月14日の
西武戦(マツダ
広島)。殊勲者は
赤松真人だった。同点の9回二死一、二塁。サヨナラの好機で今季9打席目に立った。その初球を中前にはじき返した。二走の菊池が猛スピードで三塁を回る。ホームのタッチプレーは一度、アウト判定もリプレー検証の結果、約10分後に捕手が走路をふさいだとして、コリジョンルールが適用。判定が覆り、サヨナラとなった。
検証中、赤松は小窪らの横に立ち、歓喜に備えた。「『これでアウトになったら相当持っていない』と言われた」。得点が認められると、逃げるようにセンター方向へと走った。プロ2本目のサヨナラ打。水浸しになりながら「打席に入れば守備の人も、若手もベテランも一緒。打てて良かった」と喜んだ。
ベンチには下水流や安部らも控えていたが、緒方監督は赤松に託した。「打席に立たせる機会は少ないが、積極性も含めて、力を持っていることは知っている」。赤松も「代打だろうと思うことだけはしなかった」。後悔のないように準備も全力。守備から打席に入る流れで、結果を残した。
守備、走塁のスペシャリストで、打撃でもここ一番で仕事をする。広島になくてはならない存在だ。33歳はチームのムードメーカーでもある。
「ヒーローインタビュー、かまずに言えたかな」
緒方監督の心配をよそに、赤松は球場を盛り上げた。これからも、要所で存在感を際立たせる。