選択肢が多ければ多いほど、起用される可能性は広がる。
岩嵜翔は3年連続の日本一へ向け、リーグ制覇を目指しているチームにおいて、存在感を日に日に大きくしている。
「イワサキ待機中」――。前半戦最後の
ロッテ2連戦(東京ドーム、QVCマリン)のブルペンにその姿があった。今季2度目の先発を託され、5年ぶりの完封を達成した7月7日の
オリックス戦(京セラドーム)から、わずか“中4日”でのスクランブル準備だった。
「
日本ハムも追い上げてきている。球宴前最後のロッテ戦なのでロングも何でもやりたい」
この男の武器は真っさらなマウンドだけでなく、荒れた小高い丘でも力を発揮できるところにある。「二刀流じゃないけど、岩嵜は両方できる」と倉野投手総合巡回コーチ。もともと自己最多の47試合に投げた2013年は1勝4敗14ホールドと、適性は示していた。ただ、先発に回るとスタミナ面に不安があった。08年の高校生ドラフト1巡目で入団した男はプロの世界で大きな壁にぶつかった。
変わったのは工藤監督との出会いがきっかけ。秋季キャンプから、東浜、千賀らと強化指定選手に指名され体幹強化に取り組むことで、長いイニングを投げるだけの基礎をつけてきた。「先発、中継ぎ、どちらでも投げられればいいんです。こだわりはない」と最近、事あるたびに言う。
バンデンハークに復帰の見通しが立たない中、この“二刀流”がいることで、投手陣の穴を補うことができている。