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日本ハム 中田翔内野手・2年ぶりの打点王奪回へ

 



 心身ボロボロになりながら要職を務め上げている。中田翔が好調な打線の中で静かに主砲として奮闘を続けている。94試合を消化した8月3日現在で、打率は.250、15本塁打。チームが上昇気流に乗っている中で疎外感を味わうようなスランプ。脱出の兆候はいまだ見えず、自暴自棄になるときもある。「オレのことは放っておいていい。若い選手に聞いてやってくれ」。投げやりになりそうな心と葛藤し、不動の役目と闘いながら意地も見せている。

 若くして豊かなキャリアの中で一度だけ輝いたタイトルが、プライドを支える。2年前の2014年に自身初の3ケタ超、ちょうど100打点で打点王を獲得した。昨季も102打点と2年連続で大台を突破。今季も本来の状態ではないが、72打点でトップの西武メヒアに2打点差と射程圏につけている。勝負強さと、好機での最低限のクレバーな対処、また軽打など打撃スタイルを切り替えて仕事を果たしている。

 ペナント争いも佳境に入り、ソフトバンクとマッチレース中。栗山監督は常日ごろから「このチームは翔と(陽)岱鋼。2人が機能すれば前に進む」と唱える。中田が爆発すれば、最大11.5ゲーム差をひっくり返しての逆転Vの可能性も現実味を増す。また打点以外で低空飛行している打撃成績が伸びれば、必然と2年ぶりの打点王返り咲きも見えてくる。ジレンマとの闘いに勝ったとき、中田もチームも覚醒するに違いない。
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