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中日 荒木雅博内野手・強肩捕手をうならせた盗塁

 



 いつもと変わらぬ光景だった。8月6日のDeNA戦(横浜)。5回無死一塁。荒木雅博がスタート。すぐにトップスピードに。二塁ベースへ低く強く滑り込んだ。今季10個目で、通算では370個目の盗塁。高木守道氏を抜き、通算盗塁の球団新記録を樹立した。

「球団で1位になれたことはうれしい。監督がサインを出してくれました。背中を押してもらった感じです」

 スタートを切る以上は、絶対にアウトにならないという技術と自負がある。

「根拠なき盗塁成功はない」

 8月11日時点で、この3年間で成功36に対し、失敗はわずか2。相手が投げる球種や間合いをすぐさま判断し、最後は「勇気」を持って決行してきた。

 胸に秘める1盗塁はプロ10年目の2005年5月13日のダイエー戦(ナゴヤドーム)。マウンドは新垣(現ヤクルト)で、捕手はメジャーへ渡る前年の城島。超一流の強肩をかいくぐり、セーフをもぎ取った。「次の打席でバッターボックスに入ったら、城島さんに『お前、やるな』って」。同じ九州男児で1学年年上。「ほめられることなんてないと思っていた。自信になったよね」。通算61個目の盗塁で確信をつかむと、初めてシーズン40盗塁を超える42盗塁をマーク。その後もたゆまぬ努力で積み重ねていった。

 次のターゲットは2000安打。残り50本を切っている。低迷するチームにカツを入れるベテランの働きは続く。
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