代走に守備固め、ときには代打やスタメンでも仕事を果たす。内野ならどこでもこなす
阿部俊人は、主にベンチからチームを支えている。8月17日現在で24打数5安打、2打点、打率.208と特筆すべき数字はないが、チームに欠かせない「スーパーサブ」として大きな戦力になっている。
その存在がクローズアップされたのは、8月2日の
オリックス戦(Koboスタ宮城)。同点の9回、一死満塁となったところで三塁走者
ウィーラーの代走として起用された。続く
銀次の右前打で、ゆっくりサヨナラのホームイン。しかし、本番はここからだった。ベンチから飛び出したナインが、水をかけに向かったのはサヨナラ打の銀次ではなく、なぜか阿部だった。
「自分のほうに来たからビックリしました。代走に行く前に、ベンチで『違うヤツにかけようか』って話してたんですよ」
打ち合わせしていたいたずらを、自らが仕掛けられ笑うしかなかった。もともと、降雨ノーゲームなどの際に、水がたまったシートでヘッドスライディングなどを披露してきたムードメーカー。盛り上げ役としても、渋い働きを見せている。
もちろん、本職の準備にも余念はない。「いきなり9回の守りで出ていくのは、緊張しますよ。責任が重いというか、やって当たり前。出番が少ないときは、練習で打球を捕ったり、ノックを増やします」。少ないからこそ緊張感あふれる出番をきっちりこなし、チームに笑顔をもたらしている。