今季はレギュラー奪取さえ、現実味を帯びたはずだった。しかし、一軍では14試合、打率.211、1打点。100試合以上を消化しても
上林誠知は二軍でくすぶっている。
「僕自身、こうなるとは思わなかった。去年の成績のまま成長していけると思っていた」
初めて一軍出場を果たした昨季は、15試合で打率.318、2本塁打6打点。出場試合数こそ少なかったが、8月25日の
ロッテ戦(ヤフオクドーム)では本拠地初のスタメン起用に応え、プロ1号が逆転満塁本塁打という離れ業をやってみせた。今年の春季キャンプは初のA組(一軍)スタート。昨季一塁を守った
李大浩(マリナーズ)が抜けたことで内川が一塁コンバートされ、外野の一角に十分チャンスが生まれた。
だが、やり遂げてきたトレーニングに結果が比例してこない。一軍でも通用する力強いスイングはできているように見えるが「あとはバランスだと思うんですが……」と修正点は簡単には見つからず、頭を悩ませる。それでも「数字ばかりを見ても仕方はない。今、できることをやるしかない」。現状には満足できないが、振り返ることだけはしないつもりだった。
その背中を追い続け、同じ背番号51をもらった
イチロー(マーリンズ)が、
オリックス時代に210安打を放ったのは3年目の94年。イチローと異なり1年目での一軍出場はなかった上林だが、同じ3年目だ。乗り越えるべき、大きなカベにぶつかっている。