飛躍の2年目になるはずだった。
中村奨吾は間違いなくレギュラーを期待されていた。ドラフト1位で入団した昨季はチームの新人でただ1人二軍に落ちることなく、111試合に出場し打率.230、5本塁打の成績を残した。今江、クルーズと主力内野手2人が抜けた今季、キャンプから「ポスト今江」の最有力候補だった。しかし、カベにぶち当たった。
まさに2年目のジンクスか。三振が増え、打率は一時1割台に低迷。53試合で打率.209、3本塁打だった6月8日にプロ初の二軍降格を味わった。
「2年目で相手を知っているということは、相手も自分を知っている。それを意識して、考え過ぎて“1球待とう”とか、甘い球を振らないこともあった」
一軍に比べて失投が多い二軍で、甘い球を確実に仕留める意識を再確認。再び一軍にはい上がった。8月24日現在、イースタンでは17試合で打率.375、3本塁打。二軍でくすぶっている選手ではない。
一軍復帰してからも今季のドラフト1位・平沢が台頭、再び定位置を奪う立場に立たされた。早大の同期、
日本ハム・有原は2年目で投手タイトルを争うまでに成長した。2年目で明暗が分かれた形。
「有原が活躍しているのは刺激になっている」
札幌遠征中には一緒に食事に出かけ、野球談議に花を咲かせた。
「自分の持ち味はガツガツ振ること。甘い球を振っていって勝負する打者なので。それを忘れずに、振っていきたい」
原点に帰った24歳の巻き返しが始まる。