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日本ハム 吉川光夫投手・待たれる左腕エース復権

 



 もがき続けたが、出口が見えなかった。吉川光夫にとって節目の10年目のシーズンはほろ苦かった。

 4年ぶりのパ・リーグ制覇、CSも突破したが、素直に喜びの輪に加われなかった。開幕から先発ローテーション入りしたが、不振で二軍へ降格もした。「与えられたところで投げるだけ」と覚悟を決め、代役守護神に抜てきもされた。そこでも意地を見せることができなかった。7勝6敗3セーブは納得できる数字ではなかった。

 好不調の波に飲み込まれた苦悩の1年。昨シーズンは最低ラインである2ケタ、11勝をマーク。さらに信頼を得るため、実績を積み上げたかったはずの今季だった。順当に開幕から先発ローテ入りしたが、19試合で7回以上は1度だけ。中盤までに乱調で降板するパターンを繰り返した。6月下旬からチームが球団新の15連勝など進撃を続けても、吉川は依然として復調の気配はなし。8月には2度の出場選手登録抹消で優勝争いの渦中で戦列から離脱した。

 優勝マジック1で抜てきされた9月27日の西武戦(西武プリンス)でも5回3失点と、苦渋を飲んだ。CSファイナルステージを登板機会がないまま終えた。広陵高時代を過ごした「第2の故郷」の広島でも開かれる日本シリーズで、来季への道筋をつけたいと最佳境に挑む。

 前回リーグ優勝した12年のパ・リーグMVPサウスポーが、正真正銘の復権を狙ってラストスパートを誓う。
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