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オリックス 海田智行投手・「左腕不足」の救世主

 



「右肩上がり」。このリリーフ左腕の今シーズンを表すのにピッタリな言葉だ。今季はシーズン前から精彩を欠く投球が続き、開幕一軍入りを逃した。しかし、不調だった春先を忘れさせてくれるかのように、シーズン後半には勝利の方程式に定着。安定した投球を見せ、球場で流れる「ピッチャー・海田」のコールに対する安心感も日に日に増していった。派手な役回りではないうえ、抑えて当然の世界。スポットライトを浴びる機会はほとんどなかったが、そんな海田こそ陰のMVPといえる。

 下克上の1年だった。5月3日に今季初昇格も、最初に与えられた役割は敗戦処理。ときにはロングリリーフもこなした。チームの左腕不足が深刻な中、貴重な存在ではあったが、決して順風満帆なスタートではなかった。それでも「どんな場面でもいく。自分はビックリするようなボールはないので、とにかく丁ねいにコースを意識して投げることを意識している」と身上を貫いた。

 6月9日の中日戦(京セラドーム)から13戦連続で無失点に抑えると、塚原や吉田一に疲れが見え始めたシーズン後半には勝ちパターン入り。最大5連投もこなし「絶対に達成したい」と話していたキャリアハイとなる50試合に登板した。今秋のドラフトで獲得した投手はすべて右腕。チームは依然として左腕不足が続く。来季もフル回転すべく、11月は千葉・船橋市で自身初となる肩のオーバーホールを行って英気を養う。
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