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広島 今村猛投手・ポーカーフェースでフル回転

 



 無表情のまま今村猛は淡々と腕を振る。「便利屋」から始まり、セットアッパー、臨時守護神まで務めたシーズンは、陰のMVPと呼ぶにふさわしい。

 レギュラーシーズンでの登板67試合、3勝4敗、防御率2.44の数字は圧倒的。畝投手コーチも「もっと猛とヘーゲンズを取り上げてあげてほしい。彼らの存在がものすごく大きかったシーズンだった」と明かすほどだった。

 開幕当初の立場は敗戦処理に近かった。2013年に3年連続50試合以上登板となる57試合に登板も、14年は17試合、15年は21試合の登板にとどまった。右肩の不安もあって、安定感を欠いた。

 しかし今季はピンチにも表情を変えず抑え続ける姿で、徐々に立場を上げていく。イニングまたぎ、連投もこなしてチームを支えた。

 シーズン終盤にそれまで7回を投げていたヘーゲンズが先発に回ると、今村は7回の男に。最終盤に守護神・中崎が右腰痛で離脱すると臨時ストッパーに抜てきされた。「全員で戦っていくしかない」と今村は静かに闘志をたぎらせていた。

 今村の最大の特徴は状況に応じたピッチングだ。畝コーチも「テンポを上げたり、ゾーンで勝負したりといろいろ変えている」と言う。いかにリズムを生むピッチングができるかを考えているのだ。今や正真正銘の中継ぎのスペシャリスト。25年ぶりのリーグ優勝には今村の存在があったことを見逃せない。
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