プロ10年目で初めて一軍登板なしという屈辱を味わった
浅尾拓也に、反論の余地はなかった。11月8日の契約交渉で球団から提示されたのは、減額制限いっぱいとなる25%減の7350万円。5年連続のダウンを受け入れるしかなかった。
「やれなかったので、しょうがないかなと」
2011年にMVPを獲得して以降、満足な結果を残せていない。今季も右肩痛に悩まされ、実戦に復帰しても本来の力を発揮できずにいた。ゆえにダウン提示は当然。むしろ25%の限度額を超えるダウンではなかったことに球団の温情が見えた。
「今までの貢献度やそのほかを考えました。来年復活してほしいという思いがあります」とは西山球団代表。12年以降の5年間で年間40試合に登板した年は1度もなし。それでも球団は復活を信じて7000万円以上という高給を用意した。だからこそ浅尾も期待に応えようと来季への並々ならぬ決意を表明していた。
「ここ数年はずっと背水の覚悟でやっています。いろいろ知識を得たり、やってみたりして後悔しない野球人生にしたい」
現在は秋季キャンプを免除されて、自身でトレーニングを積んでいる。主に取り組んでいるのが下半身の強化だ。「この歳になって重要さを痛感しました」。理想はセットアッパーでの完全復活だが「どちらでもやれるようにしておきたい」と先発転向も視野に入れるMVP右腕が背水イヤーに向かおうとしている。