抜群の安定感を誇った守護神・
西野勇士に陰りが見えたシーズンだった。昨季まで2シーズン連続で30セーブ以上を挙げ、敗戦は計3しかなかった西野は、今季3勝6敗21セーブと数字を落とした。右ヒジ痛もあり、7月末からシーズン最終盤まで戦列を離れ「不安を抱えながら試合に出て、結果も出ていない」と不本意な1年を送った。
輝きを取り戻すため、チームトップの9勝を挙げた2013年以来となる先発に再転向する。決め球のフォークだけでなくスライダーも一級品で、カーブも織り交ぜる。伊東監督は「いろんなボールを使えるから幅は出ると思う。増井くらいになってくれれば」と、今季途中で抑えから先発に転じ、10勝をマークした
日本ハムの右腕を引き合いに期待を込めた。
3年ぶりに参加した秋季キャンプでは、先発に必要な心肺機能を向上させることに力点を置いたトレーニングに励み、ひたすら走り込んで鍛え上げた。毎日、登板に備える必要がある抑えでは、十分な走り込みをこなせなかったためだ。投げ込みは年末か1月に入ってから。「それで十分、間に合う」と青写真を描いている。
先発経験があると言っても、必ずしも再転向が成功する保証はない。落合投手コーチは「来年はヨーイドンで長い回を投げてもらおうとは思っていない。夏以降に計算できるように」とじっくり見る考えだ。先発ローテーション争いも激化しそうな来季、背番号29はどこまで存在感を示せるか。