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中日 浅尾拓也投手・現状打破を目指す

 



 リーグMVPから5年。今季はプロ10年目にして初の一軍登板なし。浅尾拓也は契約更改で減額制限いっぱいとなる25%減の推定7350万円でサインした。

「やれなかったので仕方ない」

 悔しさをグッとかみ締めた。

 たび重なるケガに苦しめられた。キャンプ終盤までは順調だったが、3月上旬に肩の違和感で離脱。その後も一進一退を繰り返し、調整が遅れた。7月から二軍戦に復帰したが、最後まで一軍から声がかかることはなかった。

「スピードもキレも満足いくものではなかった。正直、肩の状態も100%とは言えなかった」

 二軍戦では28試合に登板。投げられないほどではないが、体が発するわずかな違和感を解消できないまま時は過ぎていった。苦しいやりくりが続いた一軍首脳陣も無理を強いることはなかった。

 ここ数年間、「今年こそは」という強い決意のもとでやってきた。追い込み過ぎ、身も心も擦り減らすこともあった。

「意気込み過ぎて失敗して、意気込み過ぎないようにしてもこうなって……」

 費やした時間が報われないという失望感。当たり前のように立っていた舞台に上れない閉塞感。頂を極めた右腕にとって現在地は生易しいものではない。

「態度で見せるしかない。結果で示すということ」

 今オフは恒例のグアム自主トレも取りやめ「何かを変えようと思って」

 このままでは終われない。未来は自らの手でつかみ取るしかない。
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