新人王は
阪神・
高山俊に譲っても、
今永昇太はそれに負けないくらい働いた。22試合で8勝9敗、防御率2.93。規定投球回には届かなかった(135回1/3)が、かつて
DeNAの泣きどころと言われた先発左腕としてフル回転した。1年先輩の
石田健大とともに絶対的な地位を確立。頼もしい存在であり続けた。
「これが契約更改か……と思いました」と初々しかったオフの交渉では、2500万円増となる年俸4000万円でサイン。浮かれることはなく「年間を通して戦力になれなかったのが、高山君との差です」と表情を引き締め「必ず2ケタ勝利。1年間ローテーションを守って、チームで1番イニング数を投げたい」と力強く、2017年の目標を設定した。
デビューは3月29日の
巨人戦[横浜]。本拠地開幕戦だった。7回4失点でプロ初黒星。ここからが長かった。3、4月は5試合で0勝4敗。防御率2.45と安定しながら、打線の援護がなかった。この期間の援護点は計2点。
ラミレス監督が「4勝0敗でもおかしくない」とたまらずフォローするほどだった。
「援護がないというのは、防御率0点台の投手が言えること。僕が粘り切れていないだけです」
それでも、言い訳を一切しない意識の高さ。5月6日の
広島戦[マツダ広島]で初勝利を挙げると、ここから4連勝と流れをつかんだ。CSも経験。「優勝を決めるマウンドに立ちたい」とどん欲になった。17年9月に24歳。期待はふくらむばかりだ。