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中日 小笠原慎之介投手・経験を財産に

 



 がらりと景色が変わるのは覚悟している。ルーキーイヤーはがむしゃらに「当たって砕けろだった」。1年が経ち、絶対的に違うのは経験の蓄積。自らの財産になる半面、「慣れてきて、うまくやろうとしてしまう恐れもある」。その意識を、小笠原慎之介は「気持ちの壁」と表現する。

 夏の甲子園制覇を引っさげ、ドラフト1位の期待を背負った1年目。スロースタートながら、交流戦の開幕で初登板初先発を飾った。試合はつくれど白星に恵まれない不運が続いたが、先発9度目の9月に高卒新人で初勝利一番乗り。終盤は先発ローテの一角を担い、15試合で2勝6敗ながら防御率3.36と片りんは示した。

 すでにセ・リーグ5球団と戦い、研究されるのは必至。「昨年みたいに、行き当たりばったりでは抑えられない。簡単にはいかないので、自分で考えていかないといけない」と胸に刻む。投球を振り返り、打者の特徴やリードなどを総復習。捕手任せではなく、自ら状況判断できる思考と、投げ切るだけの技術を欲する。

 昨年11月に左ヒジ遊離軟骨の除去手術を行った分、2年目の出発は出遅れ。それでも焦ることなく、段階を踏みながら先発ローテの座をうかがう。19年ぶりの最下位に沈んだ竜の立て直しには、若い力は必須。その旗振り役として「チームの軸になっていきたい」。エースという言葉に付属する「将来の」や「候補」を、1日でも早く外す責務がある。
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