チームの野手最年長・
荒木雅博は特別なシーズンを迎えようとしている。通算2000安打まで残り39本。竜の生え抜きでは
立浪和義氏以来、4人目となる大記録がかかっている。
「意識しないと言えばウソになる。いろんな方に期待もしてもらっている。5月には達成したい」
その言葉に力が入るのには理由がある。昨年4月に故郷・熊本を震災が襲った。生まれ育った菊陽町も被害を受けた。昨年末には、選手会のイベントで熊本を訪れ、野球教室を通じて子どもたちを励ました。
「ちょっとずつ復興していると思うけど、まだまだ全然ですね。地震はいつどこで起きるか分からない。風化させないことが大事だと思った。もう一回、思いを新たにできました。熊本の人たちにも感動してもらえるように頑張りたい」。率直な気持ちを言葉にした。
集大成を前に、決断したことがある。「キャンプは下でやる」。昨季はインフルエンザの影響で二軍スタートだった。そこで得たものが多かった。
「うまく時間を使えた。数をこなそうと思えばできるし、ゆっくりやろうと思えばできる。人数も少ないし、人に迷惑をかけることもないから」
これまでは1月、2月は極限まで追い込んできた。ダメージが残ったまま開幕を迎えることもあった。
「そういう状況でもない。焦らずじっくりやりたい」
一歩一歩噛みしめるように、22年目の背番号2が金字塔へ歩みを進める。