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中日 若松駿太投手・高いハードルを越える

 



 チームトップタイといえば聞こえはいい。昨季7勝。だが、実感はまったくない。ノルマに掲げた2年連続の2ケタ白星には届かず、チームが19年ぶりの最下位では、悔しさを象徴する数字でしかない。

「正直、やれると思っていました」

 若松駿太は、ちょうど1年前に抱いていた慢心を隠すことなく口にする。

 右の先発ローテの柱として期待され、本拠地開幕戦も任された昨季。前半戦は7勝6敗と踏ん張ったが、綱渡りが続いた。安定しない投球フォームは、制球に直結。高めに浮けば、持ち前のチェンジアップも刃を失った。疲れは抜けず「夏場にバテました」。後半戦は2敗で8月初旬に二軍降格。黒星がひとつ上回り、防御率も4.06とほめられたものではなかった。

「年間通して先発ローテを守りたい」

 それが今季掲げた最低限のハードル。昨秋のキャンプでは苦手のランニングを先頭に立ってこなした。オフは地元の福岡県久留米市に帰省し、ほとんど休みなく昼夜2部制の自主トレ。知人の理学療法士に体幹を強化するメニューを作ってもらい「体の軸をつくりたい」と没頭した。

 そんな地道な日々も、5年目の責任感ゆえ。「自分にプレッシャーをかけたい」と目標もあえて口にする。昨年12月には開幕投手にいち早く立候補。昨季2ケタに足りなかった3勝を取り返すべく「13勝で防御率2点台前半」とも設定した。竜の核を担えるのか、自らの真価を問う1年になる。
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