真っさらなマウンドの意味をかみ締める。2月12日、一軍キャンプ地の沖縄・北谷球場。今季初の実戦となる韓国・ハンファとの練習試合に、
鈴木翔太が先発した。ほかの若手先発候補もいる中での抜てきは、何より期待の表れ。2イニングで三者連続三振を含む無安打と完全に抑え「真っすぐでファウルも取れたし、強い球もいった」とうなずいた。
球春における課題は分かっている。8日のシート打撃登板後、ブルペンでストレートのみ309球の投げ込み。汗を飛び散らせながら、何度も雄たけびを上げた。疲れで体が思うように動かないからこそ「悪い形にならないよう、より意識するようになる」。それを見た森監督も「進歩を感じる」とうなずいた。
天性の腕のしなりを持つ将来性を買われての高卒ドラフト1位も、もう4年目。一軍登板なしに終わった昨季と引き換えに、試行錯誤を尽くした。踏み込む歩幅や体重移動、テークバックなどを見つめ直し「形をつかみかけている」とわき立つ手応え。友利投手コーチが「日本刀のようなキレ味」とほれ込む代名詞の完成は近い。
竜の再建へ、若手の台頭が不可欠なのは言うまでもない。「今年こそ一軍で勝たないといけない」と自身の立場も痛感する。キャンプからオープン戦へとつながる競争を勝ち抜き、見据えるのは開幕先発ローテーションの座。決意と意志を宿した表情に、背番号18が似合ってきた。