ヤクルトの今季のカギを握るのは、新助っ人の
オーレンドルフだ。昨季のチーム防御率がリーグ最下位(4.73)のチームにとって、最大の課題は投手陣。実績のある石川、小川の左右のエースに、山中、原樹らが先発候補に挙げられる。そして、沖縄・浦添キャンプから首脳陣の評価を上げているのが、この大型右腕だ。
2月23日の
楽天との練習試合(浦添)では、2回3奪三振のパーフェクト。3月5日の
ソフトバンクとのオープン戦では、4回4安打3奪三振で、見守った真中監督は「内容的にはいい。球も強いし、もう少しスピードも出ると思う。(先発)ローテーションで投げてもらわないと。期待しています」と、手放しで褒めた。
何よりもすごいのが貪欲さだ。名門・プリンストン大卒のインテリ右腕は、日本の野球に適応しようと情報収集をしている。「日本の打者は足を高く上げて打つことが多い」とワインドアップから、右足へのタメが少ない、クイックモーションで相手打者を幻惑。3月5日のソフトバンク戦(北九州)では、俊足の福田が出塁すると、計7度のけん制で一塁にクギ付けに。「スコアラーや捕手に足が速いと聞いていたんだ」と予習は欠かさない。
先発陣の出来が浮沈のカギを握るヤクルト。最速157キロ右腕の貪欲さと能力には、セ・リーグの強打者も戸惑うはず。ローテーションの2番手や裏ローテの1番手などで1年間投げ続ければ、おのずと2ケタ勝利は見えてくる。