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中日 石川駿内野手・崖っぷちからの大逆転へ

 


 眼光鋭く、多くは語らない。ただバットで体現する。

「相手も必死。やるか、やられるか」

 開幕まで2週間を切った3月20日の日本ハム戦[ナゴヤドーム]。石川駿が先頭で迎えた3回に直球を振り抜くと、打球は左翼席へと吸い込まれた。オープン戦1号に「本当に強い気持ちで打席に入れた結果」とうなずいた。

 春季キャンプは二軍生活。3月に入り、打撃不振の高橋と入れ替わるように一軍に合流すると、出場した3試合連続で快音を残して存在を示した。求めるのは自らの形。

「目先の結果にこだわっていたら、その先は見えない。やってきたことを出すだけ」

 一振り、一振りに神経を研ぎ澄まし、確信を探る。

 明大、JX-ENEOSを経た即戦力候補も、何もできないままプロ3年目を迎えた。腰などの相次ぐ故障で棒に振った1年目。昨季は一軍デビューを果たしたが、与えられた2試合のスタメン機会で5打数無安打と空回りした。背水なのは自らが一番分かっている。

「僕はまだプロ野球選手じゃない」

 昨秋、意を決して小笠原二軍監督に教えを請い、打撃の意識やフォーム、感覚を再構築。オフ期間に頭と体に染み込ませ「しっくりきている」と思える打席もある。懸命に食らいつき、少しずつ見えてきた開幕。一軍の戦力になっていくためにも「今の形を続けていくこと」。

 崖っぷちからの大逆転へ、蓄えた力を解き放つ。
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