持ち前の明るさでもぎ取った。練習中や試合中にベンチやグラウンドから響く、低く通る声の持ち主が21歳の吉田雄人だ。試合前には円陣の中心に立ち、大声を張り上げてナインを盛り上げる。そんな姿勢を買われ、春季キャンプ途中に一軍昇格。そのままオープン戦も戦い続け、プロ初の開幕一軍切符を手にした。「1日でも長く戦力としていられるように」と意気込んでいる。

　プロでの過去3年間の中でも、昨季はとりわけ悔しいシーズンだった。春季キャンプでは一軍に初めて抜てきされ、内野にも挑戦。しかし、開幕メンバーには残ることができず、そのまま二軍でシーズンを迎え、終えた。チームでは同期入団であり、同級生である若月、園部、奥浪が次々と一軍で試合に出場。1人取り残された形になり「みじめでした。必死にやっていかないと、と改めて思いましたね」と振り返った。一、二軍の入れ替えが激しかった昨季だが、チームの野手の中で唯一昇格できなかった。

「今年ダメだったら終わり」

　その危機感が4年目の若武者を奮い立たせている。

　オープン戦では好調をキープ。「試合に出たら自分を信じて思いっきりいくだけ。これだけチャンスをもらっているのだから、積極的にいかないと」と、打席数は少ないながらも打率.500(10打数5安打1打点)ときっちり結果を残した。攻守走三拍子に加えて、声と元気を兼ね備えた貴重な存在。つかんだこのチャンス、絶対に生かしてみせる。