リーグ随一と言っていい層の厚い救援陣の中、オープン戦で一番輝いたのは
高崎健太郎だ。全7試合に登板し無失点の防御率0.00とアピールに成功。開幕一軍を勝ち取った。
2012年に開幕投手まで務めた右腕だが、ここ3年は計21試合の登板にとどまった。昨季はキャンプ中にわずらった痛風の影響でプロ入り後初の登板なし。「歩けない、動けない状態」と深刻な症状に悩まされた。世間には“ぜいたく病”と見られがちな病気だっただけに、周囲の心ない声も聞こえた。
昨年の秋に考え方を吹っ切った。
「そんな悩んだ末に何かできるような選手じゃないなと。逆にシンプルに考えようと」
打者を抑えることに集中する。チーム内の立場や周囲の雑音を気にしない。「そうやってシンプルに考えるようになってからは普通の気持ちで入れる」と精神的な落ち着きが好結果をもたらした。
そしてオープン戦では直球のキレが際立った。回転数を上げ、キレを増すことを「意識してやっている」という。「ただ真っすぐを投げるのではなく、手元でいかにファウルにさせられるかということもやっている。スピードはそんなに出ないが、球のキレで勝負したい」と原点回帰に集中している。
山崎康、三上、須田、田中健ら救援陣の軸は昨季約60試合登板しているだけに、そのほかのメンバーの躍進が重要になりそうだ。「1年間一軍でやるだけ」。そう目標を掲げた高崎がフル回転すれば、リーグ優勝も見えてくる。