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中日 三ツ間卓也投手・支配下としてのスタート

 


 ゼロを積み上げ、扉をこじ開けた。オープン戦で6試合計8回1/3を投げ、防御率は0.00。文句なしの結果で、3月29日に公示された出場選手登録の名簿に名を連ねた。育成だった昨季ではあり得ない開幕一軍の座だった。

 それでも三ツ間卓也は冷静さを保って言う。

「実感はまだわきませんね。登板してみないと分からないかも」

 今季から背番号43を背負い、沖縄での春季キャンプから一軍にしがみついてきた。サイド右腕から繰り出す140キロ後半の直球に、内外角に投げ分けるスライダーとツーシーム。若手の中継ぎ陣が次々とふるい落とされていく中、「絶対にチャンスは少ない。ひとつでも結果を残そうと強い思いでやってきた」とぎらついた。

 独立リーグのBCリーグ・武蔵から3ケタ背番号で飛び込んだプロの世界。昨季ウエスタン・リーグでは35試合で5勝2敗2セーブ、防御率2.19の成績を残した。森監督の目にも留まり、1年で支配下登録を獲得。選手寮ではほかの育成選手から質問を受ける日々で「彼らが頑張ろうと思える活躍をしたい」と手本を目指す。

 もちろん、まだスタートラインに立っただけ。居場所を確保するのはたやすくない。任されるのはリリーフ。ロングでも、ワンポイントでも「いつでもいけるように、常に気持ちを入れておきたい」。その1球で、地獄にだって天国にだって変わる場所。序章を終えた成り上がりストーリーを、華やかなマウンドで書き足していく。
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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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