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中日 三ツ間卓也投手・苦労人が開花のとき

 


 端正なマスクが緩む。4月12日のヤクルト戦[神宮]。プロ初勝利を挙げた三ツ間卓也にウイニングボールが贈られる。すると、森監督がボールを奪い、スタンドへ投げ込もうとする。「やめてください」と慌てる背番号43。和やかムードに敵地に駆けつけた竜党も思わずほっこりしていた。

 同点の8回から2番手でマウンドへ。先頭を抑え、打席には山田。支配下契約した昨オフの契約更改で、対戦を熱望した球界を代表するスラッガー。「外角の厳しいところを攻められた」。140キロ直球で見逃し三振。9回も続投で、2イニングを1安打、無失点。すると延長10回表の攻撃で味方が勝ち越し、忘れられない記念の日となった。

 キャンプからサバイバルの日々を勝ち抜き、開幕一軍をつかんだ。

「緊張の連続だった」

 眠りも浅くなり、午前2時に目覚めることもあった。緊迫の日々を自らの結果で乗り越え、堂々のマウンドを見せている。

 育成出身。サイドハンドから投じる力のある直球とツーシームが武器だ。このパワーみなぎる投球を支えているのは、ストイックな自己管理。ケガ防止とパワーアップのためウエート・トレが日課。効果を最大限に得るためのプロテインは朝、昼、練習後、夜、就寝前と1日5度、サプリメントも用途に分けて計9種類を摂取している。「遠征に持っていくために専用リュックもあります」。すべてを野球にささげる苦労人が覚醒のときを迎えようとしている。
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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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