強く握り締めた右拳に、もう揺らぎはない。4月23日の
DeNA戦[横浜]。1対0の9回にバトンを受け取った
田島慎二が、勝利の瞬間を届けた。梶谷、筒香、ロペスの中軸を16球で三者凡退に。「プレッシャーもありましたけど、バルデスに勝ちが付いて良かった」。自身の4セーブ目よりも、開幕20戦目にして初めての先発の白星にひと息ついた。
滑り出しに失敗したチームと重なるように、不安から始まった今季。1日の
巨人戦[東京ドーム]で阿部にサヨナラ3ランを浴びてから2戦連続でセーブに失敗した。森監督が「どうするか考えないといけないかもしれない」と口にするほど。自らも「守りに入り過ぎていた」と変化球頼りの組み立てを省みた。
昨季の姿を考えれば、クローザーを任せられるのはほかにはいない。開幕から31試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立。途中から9回を担って17セーブを挙げ、その存在感から「タジ魔神」とも呼ばれるようになった。今春のキャンプからは新外国人のロンドンらとその座を競い、右腕で勝ち取った居場所。そう簡単に降りるわけにはいかない。「気持ち的には、もう開幕当初のイメージは消えています」。シーズンは1カ月が過ぎ、らしさは取り戻しつつある。「真っすぐをしっかり見せられれば、変化球も生きてくると思う」。どっしり構えてこその守護神。マウンドの数だけ、信頼を重ねていく。