ゲーム終盤の外野をガッチリと固めているのが、プロ13年目、今年36歳になる
工藤隆人だ。
日本ハム、
巨人、
ロッテ、そして
中日と4球団を渡り歩いているベテランは、安定した外野守備とチームトップクラスの俊足で存在感を見せている。
「とにかくやれることをやるだけです」
真面目に、そして愚直に準備をする毎日だ。その根底にあるのは野球ができる喜び。2013年10月、ロッテから戦力外通告を受けた。
「半分、現役はあきらめていた」
これまで2度のトレードを経験しているが、クビは初めてだっただけにこたえた。学生野球の指導者になるために新設されたプロ側の研修会にも参加した。それでも消えなかった現役への思い。
「妻が背中を押してくれた」
家族の後押しもあり、同年11月に開かれた合同トライアウトに参加し、猛アピール。当時の落合GMが「宝の山」と評したトライアウト参加者の中から発掘された。それから4年。代走に守備固めと欠かせないプレーヤーとなった。「走」と「守」はもちろんだが、「声」でもチームを支えている。よく通る声で、仲間を励ましたり、鼓舞したり、とにかくベンチを盛り上げている。
「声にはスランプはないからね。元気を出すというのは、ずっとやっていること。明るくやりたい」
野手の年齢順では荒木、森野に次いで3番目。若手に負けじと元気ハツラツなプレーで躍動する工藤が、低迷するチームを盛り立てる。