破壊力満点のポテンシャルが、はじける時を待っている。岡大海がスタートでつまずいた。外野のレギュラー筆頭候補は極度の打撃不振で4月中旬に二軍落ち……。二軍本拠地の鎌ケ谷では「もう1度、野球を楽しめるようにしたい」と話した。結果が出ない日々に精神的にも追い込まれ、行き詰まっていた。

　気合が空回りし、悪循環に陥った。昨年オフに外野のレギュラーだった陽岱鋼がFA移籍でチームを去った。「休んでいる場合じゃないので」とオフもトレーニングを欠かさず、レギュラー獲得へ精進。開幕戦はスタメンを勝ち取ったが、低調な結果が続いた。「考え過ぎた部分もあった」と思い悩んだ。リフレッシュと打撃を見直すため、再調整を命じられた。

　誰もが潜在能力の高さを認める。昨季は故障で出遅れたが、41試合出場で打率.374を記録。球団新の15連勝中は積極的な打撃で安打を量産し、チームをけん引した。本人もその姿を追い求めてきたが、今季はうまくいかなった。二軍では「一からやり直した」と、過去を振り返ることをやめて、新たなスタイル確立を目指した。

　5月9日に再昇格。イースタン・リーグでは13試合で打率.348、2本塁打。消えかけた自信を再び取り戻し、戦いの舞台に帰ってきた。チームも一時期の低迷から抜け出しそうな気配を漂わせている。昨季は栗山監督から「勝利の男神(おがみ)」と異名を付けられた期待の高い男が、巻き返しの旗手になる。