もう、一生、打てないかもしれないと考えたこともあった。待望の一発が出たのは4月30日の
オリックス戦(京セラドーム)だ。1点を追う7回二死。高めのフォークボールを振り抜いた。開幕から26試合、105打席目の今季1号。チームの元気印である
松田宣浩には長くつらい道のりだった。
「3、4月は苦しんでチームに迷惑をかけたけど、4月のうちに打ててよかった」
WBCでは24打数8安打の打率.333、1本塁打、7打点とレギュラーの役割を果たした。帰国後、合流2日目の3月26日の
広島戦(マツダ広島)でもオープン戦1号を放つなど、1カ月、チームを離れた影響は皆無に思えた。
ただ、開幕するとWBC後遺症は松田も例外ではなかった。3、4月は打率.220、1本塁打、6打点と低迷。「どうして結果が出ないんだろう」と悩みに悩み、ひたすら試行錯誤をくり返していた。
「心も体も熱くなかったらホームランなんて打てないんじゃないか?」。知人の言葉が胸のつっかえを取ってくれた。今季はチームスローガンの「1(ワン)ダホー!」をホームランパフォーマンスに決めていたが、2本目からは昨季までの「熱男!」に戻した。本来のスタイルになれば、自然と成績もついてくるから不思議だ。
工藤監督が「ミスター・メイと呼ばれるくらい5月は頑張ってほしい」と期待したとおり、9日のオリックス戦(ヤフオクドーム)までの7試合で3発と量産中。こうなったらもう、止められない。