タテジマに及ぼす影響は想像以上だった。
広島の左腕ジョンソン打ちも、
巨人・菅野の勢いを止めたのも
糸井嘉男のバットだ。ことごとくライバルたちを打ち砕いてきた。
甲子園の初のお立ち台では「最高です」とボソッとつぶやいて満員のファンを沸かせる。
キャンベル、ドリスを横目に「俺にも通訳いるやろ?」と爆笑を誘うなどすっかりなじんでしまった。
「みんなが勝つために必死こいてやってるから」
開幕からチームが好スタートを切ったのは、まさしく糸井効果だった。クリーンアップに固定されての額面どおりの働き。「三番・センター」が機能することで打線はつながりをみせている。
開幕から3、4月の戦いを終えて打率.318、4本塁打、20打点の移籍男の成績は十分すぎるものだった。若干の好不調はあったが、5月に入っても糸井のパフォーマンス相変わらずだ。
象徴的だったのは5月9日の巨人戦[東京ドーム]。3試合連続完封中だったエース菅野からの先制適時打。勝負強さを発揮してチームにセ・リーグ一番乗りの20勝目をもたらした。
5月に入っての本塁打は、同16日の
中日戦[甲子園]で、外国人アラウホから放った5号2ランが12戦ぶり。このままいけば自身6度目となるファン投票でのオールスター選出の可能性も高い。
チームの首位争いをけん引する男は「しっかり振っていきたい」と、糸井
コールの大合唱に後押しされてまい進する。