スターがひしめく球宴でも、今や主役の1人といえるだろう。菅野智之は、新人から5年連続となる出場が濃厚だ。6月2日に発表されたファン投票の第10回中間発表では先発部門で2位の中日・バルデスの約1.5倍にのぼる9万7072票を集め、第1回発表からトップをキープしている。

　今季は第4回WBCに出場した疲れも見せず、6月2日現在でセ・リーグトップタイの6勝(2敗)。交流戦初戦、同30日の楽天戦(Koboパーク宮城)で5回10安打8失点とエースらしくない投球を見せ、「(楽天打線は)やっぱり振れている。全部の部分がかみ合ってなかった」とパ首位の強力打線に屈した。とはいえ、今季もチームの柱であることに変わりはない。

　自身初のファン投票1位で選出された昨年は、7月15日の第1戦[ヤフオクドーム]に先発し、2回を完全に抑えた。ソフトバンク・柳田、日本ハム・中田らが並ぶ強力打線に全21球のうち、ストレートを20球投げ、球宴ならではの力勝負でファンを沸かせた。

　小学4年生のころに見た名勝負が脳裏に焼き付いている。1999年、オリックスにいたイチロー(現マーリンズ)が、新人だった巨人の上原(現カブス)からバックスクリーンへ本塁打を放ったシーンだ。「(球宴は)はどうしてもお祭りみたいな雰囲気があるけど、あの場面はシーズンさながらの真剣勝負でやっていたと思う」と目を輝かせる。順調にいけば菅野の選出は確実。今度は日本のエースが子どもたちに夢を与える。