驚異の足で初の球宴をつかみ取る。開幕から遊撃のレギュラーとして出場を続けているルーキー・
京田陽太。ファン投票の中間発表(6月2日)では遊撃手部門で
巨人・坂本に次いで2位にランクインした。票数は倍近く開いており、逆転は厳しそうだが、監督推薦に望みをかける。
ウリはチームでも屈指の50メートル5秒8の俊足だ。その足で勝利をもぎ取ったのが5月24日の
DeNA戦[横浜]だった。
3回二死二塁の場面で、内角高めの144キロ直球を振り抜いた。「真っすぐが速いので負けないようにすることだけを考えて打った」。打球は右中間を真っ二つ。三塁に到達したところで、DeNA側の守備位置を確認。右翼・梶谷の送球を受けた二塁・石川の動きが一瞬、止まった。スキあり──。再加速して一気に本塁を陥れた。
「(本塁まで行ったのは)自分の判断です。持ち味でもあるし、次の塁を狙う姿勢でいつもやっている。いい走塁ができてよかった」。三塁打と野選が記録されたが、まさに足で奪った1点だった。
打撃面でも成長を見せている。1割台の低打率にあえいでいた開幕直後がウソのような好調ぶりで、5月は96打数31安打、打率.323と気を吐いた。
それでも「もっと粘っこい打撃をしていきたい。一番で使ってもらっているわけだし」とさらなる高みを目指している。
新人王争いでも主役に躍り出そうな勢いの若武者が、夢の舞台を射程圏にとらえつつある。