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ソフトバンク D.サファテ・そこにいる、それだけで脅威

 


 事実は小説より奇なりとは言うが、チームはそういう2週間を経験した。6月2日、敵地・横浜でのDeNA戦。2点リードの9回、D.サファテは1回を1安打無失点に抑え、いつものようにゲームは終わった。「僕がいない間のチームも調子が良かったし、何の違和感もなく入れた。明日もこうやって入りたい」。米国の夫人を見舞うため5月下旬に一時帰国しており、これが戦列復帰後の初登板。サファテ不在の8試合でチームは6勝2敗だったが、その間、3点差以内の勝利がなく、セーブ機会の最終回がサファテの前回登板以来だったのだ。まさしく、絶対的守護神を待っていたかのようだった。

「いい機会だし、岩嵜や森にセーブ・シチュエーションを経験してほしかったけどね。僕もいつまでも元気に投げられるわけじゃない。ウチには3、4人、代わりが務まる投手がいる。違いと言えば、9回の精神的なところだけ」

 スピードガン表示自体は、この日の最速は151キロ。自身最速は日米両国で計測した159キロだけに、普段に比べればおとなしめと形容して差し支えないが、そのストレートはすご味を伴う。

 サファテの直前8回を担うセットアッパーとして定着した岩嵜も、一朝一夕にして埋めがたい差を感じている。「ただ抑えるだけじゃない。マウンドに出てくるだけで相手をあきらめさせる空気が出せる。実際、何もさせない」。サファテの言葉を借りれば、岩嵜とて十分に代役が務まる素材ながら、ことはそう簡単ではない。
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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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