タカの”新・8回の男”が、V奪回に貢献する。6月11日の
阪神戦(ヤフオクドーム)。1点リードの8回に
岩嵜翔がマウンドに登った。これがチームトップとなる今季30試合目の登板。それでも疲労を感じさせるどころか、150キロ超の直球と鋭いフォークで猛虎打線を無安打に封じ勝利へつなげた。この時点で10試合、11イニング連続無失点。防御率0.59と、抜群の安定感でセットアッパーに君臨している。
「代役」としてのスタートだったが、すでにチームの厚い信頼を勝ち取った。2008年に高校生ドラフト1巡目で入団し未来のエース候補と期待されたが、プロ初勝利は4年目。その後もハイレベルな投手陣の中で、立場を確立できなかった。昨季も先発、中継ぎとチーム事情に合わせ計35試合に登板。それでもあらゆる役目をこなしながら防御率1.95と結果を残した。昨季8回を任されていた
スアレスが3月のWBC中に右ヒジを故障し今季絶望。「やりがいのあるポジション。任された試合はすべて抑えたい」。開幕カードこそ自らの投球ができずつまずいたが、4月7日の
西武戦(メットライフ)の8回にピンチをしのぎ今季初ホールドを手にして波に乗った。
この試合後に達川ヘッドコーチは「あそこを抑えるか、打たれるかは今後のチームにとっても天国と地獄。これで8回は決まった」と興奮気味に話した。その言葉どおり、その後も勝利に貢献し続けている岩嵜が、V奪回まで8回のマウンドを守り抜く。