苦しみながらも、
田村龍弘は一歩ずつ成長を続けている。プロ5年目の23歳。若くしてチームの命運を左右するポジションで、勉強の日々だ。
昨季は自己最多の130試合に出場。6月には月間打率.400の成績をマークして、パ・リーグ打者部門の月間MVPを受賞した。強肩と正確な送球も光り、ベストナインにも選出。まさに飛躍のシーズンだった。
迎えた今季、2年ぶりに開幕スタメンの座をつかんだ。4月6日の
日本ハム戦(ZOZOマリン)では同学年のルーキー・佐々木を好リード。プロ初登板初勝利に導いた女房役に佐々木は、「田村のおかげ」と繰り返すほどだった。
しかし、チームの低迷と比例するように、次第に先発マスクの試合は減っていった。「スタメンを外れた理由は自分が一番分かっている。勝てないから。勝てなくていろいろなことを考えた。点を取られたくない、打たれたくないという気持ちがあって消極的なリードになってしまっていたかもしれない」。自分がマスクをかぶってリードしていた投手が、違う捕手と組んで白星を挙げる姿もベンチから見た。それでも、「自分はこうしてリードする、というイメージを持って見ている」とレベルアップの時間としていた。
同じ捕手出身だけに、
伊東勤監督からは人一倍厳しい言葉で奮起を促される。それでも「捕手出身の監督の下で野球をやれるのは幸せなこと」と貪欲な姿勢を忘れず、名捕手への道を歩んでいる。