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巨人 小林誠司・試練を乗り越えて

 


 扇の要としての覚悟が試されている。正捕手として先発起用が続く小林誠司は、低迷するチームと同様、なかなか見せ場を作れないでいる。

 課題はやはり、打撃だ。3月のWBCでは侍ジャパンの正捕手として打率.450と打ちまくり、ラッキーボーイとなった。その成長ぶりに期待が高まったが、開幕後は一転、打撃不振に陥り、4月中旬まで打率は1割を下回っていた。WBCでの活躍は大きな重圧となり、「誰かヒットの打ち方、教えて……」とこぼしたこともある。

 なんとか不振脱却のきっかけをつかもうと、本拠地での早出特打には必ず参加。遠征中は試合後も宿舎にバットを持ち帰って素振りを繰り返す。打率は緩やかではあるが上昇曲線を描き、2割到達も目前まで近づいてきた。

 一方、マスクを被れば捕手としての成長を見せる。今季は明らかに守備中にナインに指示を飛ばす回数、ベンチで投手と積極的に意見交換する場面が増え、投手陣の信頼も一気に厚いものとなった。大量失点した次の試合などはスタメンを外れることも何度かあったが、正捕手の重責を背負いながら戦っている。

 ファン投票では阪神・梅野に次いで2位だったが、選手間投票で初めて球宴にも選出されることが決まり、「うれしい。日本を代表する選手たちと野球ができる。1人でも多くの投手の球を受けたい」と向上心を見せた。人気が期待を物語っている。若き強肩捕手が試練を乗り越えなければ、巨人の明るい未来はない。
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