梅野隆太郎が堂々と主戦のキャッチャーとしてマスクをかぶっている。「技術だけでなくピッチャーとコミュニケーションを取りながらプレーしていきたい」。その言葉どおり投手陣から信頼を得るようになった。
これまでは「打」の印象が強かった。今シーズンも5月6日の
広島戦[甲子園]でチームが9点差を引っ繰り返した大逆転勝利を演じた際も、見事にV打を決めたのは7回に2点三塁打を放った梅野のバットだ。
プロ1年目から92試合に出場して7本塁打を放つなど「打てる捕手」として評判だった。だが肝心の配球などの面でカベに突き当たった。昨年はのべ8人がマスクをかぶり、梅野は37試合出場にとどまっていた。
今年は原口が一塁に回って、坂本が故障に見舞われたこともあり定着。今度はバッティングより、「守」のほうでチームに貢献するようになった。先発から抑え陣までを正捕手としてリードするなど自信をつかんだ。
梅野は「打たれるケースもあるが、いかに切り替えられるかが大事」といって強弱をつけた配球を続ける。リードだけでなく盗塁阻止率もリーグトップを記録するなど大きな成長ぶりを見せる。
福岡県出身の一般女性とも結婚。グラウンドではオールスター戦にもファン投票で初選出された。公私に特別な年になった男は「守るべき家族もできたので頑張りたい」と正捕手の座をつかんで離さない。