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西武 ウルフ・ゴロの山を築く巧みな投球術

 


 昨年7月末に加入し、昨季は4試合に先発し4連勝。さらに今年に入ってからも、4月30日のロッテ戦(メットライフ)まで4連勝を果たし、自身8連勝を記録したブライアン・ウルフ。その後、本拠地で行われた5月7日の楽天戦、7月2日のオリックス戦で黒星を喫したが、6日現在、6勝2敗、防御率はリーグ4位の2.57、勝率は3位の.750と安定感は抜群だ。

 驚くのは、その投球内容だ。本人も「ゴロを打たせてアウトを取るのがスタイルだ」と言うように、ここまでの打ち取ったアウトの約55%がゴロだ。手元でわずかに動くツーシームを最大の武器に、カーブなどで緩急をつけながら打者を翻ろうしていく。手の内はバレているものの、制球力が良いため、打者は手を出さざるを得ない。結果、ゴロの山を築かされているという形だ。

 また、四球が少ないため、試合のテンポが非常に早い。4月30日のロッテ戦では、69球で7回無失点。試合時間はわずか2時間10分だった。守備に就いている時間が短くなる野手に自然とリズムが生まれ、攻撃に好影響を及ぼしているのだ。その証拠に、ウルフが先発した試合では、ほとんどが援護点に恵まれている。

 160キロを超える速球や奪三振ショーを繰り広げる投手に比べたら、地味かもしれない。だが、ゴロを打たせ、球数少なくアップテンポで試合を進め、攻撃を活性化させてチームに確実に勝利をもたらすウルフの投球術もまた、まさにプロならではだろう。
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