ベテランの好守が、チームに白星をもたらしている。名手・
藤田一也は、経験、データ、読み、そのすべてを生かし広大な守備範囲を実現。今季は
銀次の二塁挑戦もあり出場機会が減少しているが、優勝を争うチームに絶対不可欠な存在感を示している。
そのビッグプレーは、6月18日に生まれた。甲子園での
阪神戦。1点を先制した直後の6回裏だった。福留の中前打で無死一塁。反撃ムードが高まる中で、続く原口の打球は二遊間を襲った。しかし、センター前へ抜けようかというゴロをダイビングキャッチ。倒れ込んだまま、ベースカバーの三好に逆シングルでグラブトスを決めた。併殺を完成させ、無死一、二塁のピンチを招くところを二死走者なしに変え、先発・岸を救った。
準備と少しの運がスーパープレーを呼んだ。「追い込んでからの外スラ。来るんじゃないかなと思っていた。網の部分で捕って、体も伸びたところ。手首も使いやすかった。たまたまも重なっていいプレーになって、よかったです」。
配球から打球方向を予測したという藤田。それでもギリギリになったプレーが、逆にムダのないトスにつながった。
ここで流れを渡さなかったチームは、1対0で逃げ切り勝ち。梨田監督も「職人。グラブトスは完璧だった。最高のダブルプレー」と賛辞を惜しまなかった。「守備で投手を助けるのが持ち味。守備で貢献したい」と話す35歳。衰えるどころか、円熟味を増すプレーでチームを支えていく。