ルーキーだって、ぬかりない。
中日ドラフト1位の
柳裕也が、洗練された姿を見せた。6月18日の
西武戦[ナゴヤドーム]。1点リードの2回一死一塁で、投手のウルフを打席に迎えた。3球目の送りバントが正面に転がると、駆け出して捕球するや迷わず二塁へ。送球に寸分の狂いなく、併殺が完成。窮地の芽を摘み取った。
「投げる以外でも、自分を助けられる」。その言葉は実を結んだ。7回を投げて7安打3失点。プロ3度目の先発マウンドで、初勝利が訪れた。「ダテに全日本や六大学リーグで投げてきていない。ほかの新人とは違うなと思って見ている」。そう森監督がうなずくように、マウンドさばきや小技は一流に引けを取らない。
息づくのは、名門の教え。横浜高、明大で培ってきたのは、球威や制球だけではない。端的に言うなら、スキのない野球。「細かい部分は、しっかりやってきたつもりです」と胸を張る。そんな姿に、友利投手コーチも「さすがって感じだよね」。示された完成度の高さは、そのまま首脳陣の信頼感にもつながる。
今季は右ヒジの炎症で出遅れたものの、5月下旬には一軍デビュー。6月からは先発ローテーションの一角として存在感を増し始めた。周囲が口をそろえるのは「大崩れせず、試合は作る」。だからこそ、その先へ。中盤以降に息切れする場面もあり、「チームを勝たせる投手にならないと」。
初々しさと頼もしさを、同居させてみせる。