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ソフトバンク・福田秀平の努力の成果が集約された一発

 

歓喜のチームメート同様、お立ち台で最高のスマイルを見せた福田


 誰も期待していなかったと言えば失礼かもしれないが、それだけの衝撃はあった。6月25日の西武戦(ヤフオクドーム)は敗勢のまま、1点差の9回二死一塁、打席には8回に代走で出ていた福田秀平が入った。「なんとかつないでくれれば」という工藤監督の期待をいい意味で裏切り、相手守護神・増田のスライダーを右翼席へ、2号逆転サヨナラ2ランだ。

「興奮しました。自分が(歓喜の)輪の中に入るのは初めて」

 無理もない。プロ7本目の放物線は、11年目で初のサヨナラ打。指揮官は「予想していないところで出た」と前半戦総括でも一番、印象に残るゲームだったと振り返った。

 開幕一軍入りしたものの上林のブレークもあり、スタメンはこの試合までたった3試合。ただ、窮地を救う男がいた。オフも一緒に自主トレを行う師匠・川崎宗則から「どうしたら試合で力を発揮できるかを学んだ」。アメリカでの5年間の多くはマイナー生活。メジャーでもベンチを温める役割が多かった男の言葉だからこそ、真摯に耳を傾けられた。試合を想定したベンチ裏での練習など日の目を見なかった努力が報われた。

 交流戦明け最初の3連戦。敗れれば首位・楽天との差は2.5ゲームと開き、一気にリードを広げられるピンチだった。川崎をして「カブスの優勝(世界一)を超えたね。鳥肌が立った」と言わしめたドラマの主役になった背番号37。「一生忘れられない」というプレーを本当の「主役」になるためのきっかけにするつもりだ。

写真=湯浅芳昭
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