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貯金を運んだDeNA・桑原将志の逆転満塁弾

 

チームを勢いづける頼もしいリードオフマンに成長


 迷うことなく、ラミレス監督は言った。

「まさに、あの試合がベストゲームだと思います」

 目尻を下げ、大きくうなずき振り返ったのは、7月1日の巨人戦(東京ドーム)だ。3連戦の2戦目。初戦は菅野を攻略し、3対1で快勝した。

 この試合の先発はマイコラスだった。「どんなエース級が来てもいける。そういう自信がついた試合になりましたね」と、大暴れした桑原将志を頼もしそうに見上げた。初回に先頭打者本塁打。「チームを勇気づける打席を……」とトップバッターとして信念を持つ男は、最後の最後にミラクルを巻き起こした。

 8回に2点を勝ち越されて迎えた9回二死満塁。「無我夢中で思い切り振りました」と守護神・カミネロの初球をフルスイングした。低い弾道のまま、ベイ党の待つ左翼席へ突き刺さった。大逆転の7号グランドスラム。1試合で先頭&満塁アーチを放つのは、球団史上初の快挙だった。チームに今季初の貯金を運んだ劇弾2発。「ターニングポイントになる試合」と誰よりも指揮官を喜ばせた。

 ラミレス監督が就任した昨年からレギュラーを確保。「一番・中堅」として、打率.289と打撃面でもメドをつけた。今季は5月終了時に打率.234だったが、6月から打ちまくり、7月は13試合で.473。打率.289まで持ち直し、ホームランを打てば9戦全勝と神話も生きている。元気とユーモアが売りだったのは過去の話。本物の実力を備え、上位進出の原動力となる。

写真=高塩 隆
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