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広島・赤松真人 前例のない戦いに挑む赤ヘルのラストピース

 

7月11日に三軍に復帰した赤松


 前例のない戦いに挑んでいる。赤松真人は昨年12月に「胃がん」を患っていることを公表。今年1月に切除手術を受けた。リンパ節の一部に転移していることが分かり、半年間の抗がん剤治療を選択。7月11日に三軍として復帰した。

 体重は2キロ落ち、測定した筋力も「ひどい状態」と自虐的だったが、何よりも笑顔が絶えなかった。体を動かせる喜びにあふれていた。

 25年ぶりのリーグ優勝を果たした昨季の緒方カープにおいて、赤松は欠かすことのできない存在だった。終盤の守備固めはもちろん、抜群の走力は相手チームの大きな脅威となった。「分かっていても走られる」と他球団から恐れられ、ひとたび代走で出れば速球系統の配球が中心となった。

 ベンチにいても相手投手のクセや配球の傾向を分析。野間峻祥上本崇司にとってお手本とも言える存在だった。

 優勝へ一気に加速させた打撃もあった。昨年6月14日の西武戦(マツダ広島)でサヨナラ打。史上初のコリジョンルール適用によるサヨナラ勝ちだった。判定が出ると喜びでベンチを飛び出し、誰も追いつけないスピードで外野まで快足を飛ばした。ムードメーカーとしても存在感は抜群だ。

 一軍復帰を目指し地道にトレーニングを積んでいく。「野球選手である限り、一軍の舞台が一番」とその目は先を見据える。

 真っ赤に染まったマツダ広島で、また全力で駆け抜ける。広島のラストピースは笑顔のまま、そのときを目指していく。

写真=BBM
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